みちのくの北上川行

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9月14日 日曜日
朝起きたら、水の跡があった。夜中にけっこう雨が降ったとのこと。
紫波橋の運動公園は朝の4時ごろから騒々しい。野球のようだ。その連中は6時にはひきあげる。もぞもぞ起き出していると、朝からたくさんの車がやってきた。後で聞いた話だが、どこぞの会社の運動会があったそうで。あたりは車ばっかり。そのなかに、ゾデアック、大型のゴムボートを積んだ小型クレーン付きトラックが2台来た。北上川ラインくだりかな。
橋の下からなんとか艇を出せそうだが、その先にいやらしい浅瀬があるので、すべるのを覚悟で運動公園の下流端のコンクリの岸から出すことにする。
IPPONさんとキャンペットを持ってそこまで行くとさっきのゾデアックのトラックがいた。そのまわりに乗客らしきオレンジのライジャケを付けた方々がたくさん。なんでも、「川を知る」主旨のイベントの参加者だそうで、昨日はカナディアンで花巻の方をくだり、今日はモーター付きゴムボートでここから下るのだそうだ。主催はボランティアだが、建設省が後援だそうで。なんか、いろいろやっているのですねえ。
2日めの出発 みんなめずらしそうに私たちのカヌーを見ていた。
コンクリの岸はかなりすべりやすい。APPONさんに協力してもらって乗り込むが、そのときにAPPONさんが水に浸かってしまった。もーしわけない〜。見事にGパンが水浸し。オレンジのライジャケの方にも手伝っていただき感謝。
出発は9時30分。まだゾデアックは降ろし終わってないようで、先に出発。

川面にでてみて思った、今日は昨日と違って、流れがない。
漕がないと進まない。ところによってはまさに「湖」のような様相になっている。 流れの下に岩盤があるのが見える。水が少ないと引っかかるのかも知れないが、今日は眺めのアクセントになっている。川が左に曲がるところあたりでキャンプをしている人を発見。カヌーが3隻わきに置いてあった。
流れが左右に振れる瀬がある。楽しい流れになる。
空がうすぐもりになってきて、明るくなってきた。嬉しい。前方にまたカヌー3隻を発見。こんなに細かく書けるのはこれ以外にカヌーに滅多に会わなかったからです。2艇のカヌーはがんばって漕いでいくが、私がメモを取ると、あっと言う間に置いて行かれる。夏樹くんが私に対抗心を燃やして漕ぎ始めるとさすがに小学生でも2人艇は2人艇。けっこう早い。ドン亀キャンペットではおいつくのがやっとの状態になる。おかげでけっこう腕がだるくなった。

大正橋下 大正橋下、10時45分着。先行していたカヌー3艇はそこに上陸。大正橋の下は昔ファルトで事故があったとガイドに書いてあったので、慎重に岸のそばから回ることにする。橋の下はちょっとした瀬になっている。さあ行こう、と、思ったときに先行していたカヌーのひとりが話しかけてきた「あの橋の下で、昔事故があったんですよ」ファルトの方はどうやら亡くなったらしい。しかし、行こうとしていたときに嫌なことを聞いてしまった。結局、瀬を巻くようにして、右側から入り、岸そばの浅瀬から橋をくぐって合流。
つづいて出てくるハウス艇を待つ。ビデオを構えながら待つが、こっちの小さめのさざ波が立っており、ちょっとあやうくなる。おかげで映像が曲がってしまった。ハウスさんは無事通過
木から鳥がいっせいにとびたつ。ゴイサギがたくさん。あとからあとから飛び立つ。
川の上で、お茶。ハウスさんが持ってきたポットがあるので、今朝入れた紅茶があったかい。ありがたい。
11時すぎ、雨がぱらぱら降る。「まあ、ざーっとくる雨じゃないから」やがて、止む。
また、白い鳥を見た。ぱっと飛び立つ。しばらく飛ぶと、首が折れて、背中にくっついたので、どうやらハクチョウではないですね。

ゾアティック 11時40分、岸で休憩。たいしたものを持っていないので、カロリーメイトと昨日の残りのパン。食べていると上流から朝会ったゾデアック軍団が降りてきた。IPPONさんから預かったビデオを回しているとみんな手を振ってくれる。合計6隻、モーターがあるので、早そうだ。
出発するとすぐに東雲橋。そこにIPPONさんが立っていた。あれま。ここにいるならここで休んだものを。なんでもゾデアックの人がちょっと手前で休んでいることを教えてくれたそうな。昼は朝日橋のあたりと約束して分かれる。
なんてことをメモっていたらまたカナールに抜かされて、ふたたび一生懸命漕ぐ。メモを取りながら下るのは釧路川以来2回目だが、けっこう不利である。
13時7分、花巻大橋のあたりでゾデアック軍団の最後尾が見えてくる。川のスクールといっていたので、きっとなにか勉強しながら下っている模様。
そのすぐあと、JRの橋の下の瀬は今日のなかで一番大きな瀬がある。落差がある大きめの瀬である。水が川の広い範囲でざぶざぶ流れていく。岩がいくつか出ているが、今回はいやらしい隠れ岩はなく、楽しく下れる。まっすぐ下っていけば大丈夫のようである。

このカーブを曲がれば朝日橋というところで、IPPONさんから借りた小電力のトランシーバーを出して発信してみる。数回の呼び出しのあとにIPPONさんから答えがあった。小電力トランシーバーでも、見通しがあれば川の上では届くようだ。
「今ゴムボートの脇にいます〜」
さっきのゾデアック艦隊が陸揚げしているのが遠めに見えるが、人間は豆粒程度にしか見えないので、どれがIPPONさんかはよくわからない。
「今居るところの脇がイギリス海岸ですってよ」
そう言われて、右岸を見るが、確かに岸の上は数台の車が止まっており、観光客らしき姿がちらほら見られた。公園にでもなっているらしい。肝心のイギリス海岸の方は水が少なくなくては出てこないとのことで、完全に水の下であった。
ゾデアックの積み込みの脇にIPPONさん発見。そこから上陸。
川をあがったところは公園風になっていて、キャンプもできそう。でも、水とトイレが遠いそうである。
IPPONさんに買ってきていただいた弁当で昼食。ありがたい。ついでにカップ麺もでてくる。至れり尽くせりである。
APPONさんはもう一人艇を買うことにしたそうで、帰ったらお茶の水に行くんだそうな。決めるのも早い。
その夜は到着後に温泉に行こうという話にして、出発。
3時すぎ、キャンプをしている一団。そして川のわきを飛ぶラジコン飛行機。のどかだ。
足を出して乗る いいかげん、足がしびれてきて、キャンペットから足を出して漕ぐ。夏樹くんに「寝てる〜」と、叫ばれる。
カーブの所に妙な研究所風の建物があり、派手に排水をだしていた。水が透明だが、さすがにその下ですこしばかり泡立っている。なんかまわりの森に景色が合わない。
夏樹くんが「あいうえおの歌」を、歌い始める。本当ににぎやかでよろしい。滅多に黙っていないみたい。
昭和橋のむこうに新幹線の橋が見える。緑の新幹線が走っていく。
カーブを曲がると遠くに橋が見える。
「あとどのくらいで着くの〜1キロ?橋いくつ?」夏樹くんが聞く。どのくらいだろうねえ。地図で見るとあとは3つ目がゴールの珊瑚橋である。
しかし、これが長かった。漕いだ、漕いだ。「おとーさん、あと橋3つって、またひとつもくぐっていないよね」「いいところに気がついたな」
この直線は長かった。
4時すぎ、また雨がぱらぱら来た。たまに雨が来たが、全般にはくもりで、天気はなんとか持った。なんでも台風が九州の手前で停滞したそうで。わざわざ私が川にいるときに待っていてもらったような。
このあたりは岩がたくさん出ている。ついでに隠れ岩もあるようで。ちょっと気を使って漕ぐ。岩の形は楽しいのがあるのですが。
最後の橋の前で たまにざら瀬が現れる。川のまんなかに凛としたサギが1羽。灰色サギかな。よくわからないけど。川の鳥はかっこいい。
やがて、ゴールの珊瑚橋が見えてくる。IPPONさんとも通信ができる。
「おとうさん、一位でゴールしよう」「こら、そういうことはゴール直前まで黙っておくんだ」
なんて親子の会話を聞きながらメモを取っていたらあっと言う間にカナールに先に行かれた。やはりまじめに漕がれると2人艇は早い。結局、それから追い抜けずにゴール。4時半であった。
ゴールの珊瑚橋の脇にも公園があり、キャンプが出来る。その脇にプールがあって、大人は200円だそうだが、さすがに閉まっていた。

その日は、高速で紫波ICまで戻って、ききょう荘というところで温泉にはいる。ひとり500円。最近できたところらしい。宿泊ひとり温泉込みで3050円で、これは、と、おもったが、予約でいっぱいだそうで。ひと月まえから予約をしているようで。電話は019-673-7670。まあ、客室がすくないので、滅多に泊まれないようだ。

で、紫波まで帰ってきているので、泊まりはふたたび昨日と同じ橋の下。雨模様の時は橋の下がベストである。いちいちタープ張らなくても良いし、テントが雨の音でうるさくならないし。その日は、IPPONさんたちが買ってきてくれた「前沢牛」のすきやき。さすがに食べ放題の牛とは違う。なんでも大きなスーパーがあったそうで。おいしかった。
最後の日は朝から撤収して8時に出発して帰ってきました。ハウスさんのところ到着が4時すぎ、まあ、はやめのドライブだったので、渋滞にあわなくて済みました。

ゴール地点に上陸 川自体はいい所でした。特に1日目のコースが良かったですね。
一度行ってみるといいところです。どーせなら夏のまっさかりがいいと思うけど。 とにかくお勧めの川です。杭には注意しましょう。今回の所以外にもけっこうあったので。