みちのくの北上川

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ひと休みして、気を取り直して出発。
出発地をかえたばかりにおまけの難所ができてしまったのですが、本当ははじめの問題は明治橋の下のハズなのです。合流のした、向こうに見えている明治橋は去年だか、おととしだかに流れが変わったとのことで、落ち込みが出来ているという。橋の上を通るときに車から見たのは右と左に白波のたつ流れがあるということであった。さあ、どっちから通ろうか。 川面とにらめっこをしながら近づく。左は波が見える。右は見えない。思ったより右の方がいいのかなあ、と、見ていたらぴしゃっと波があがった。右には白波が見えないのですが、また、あがった。よくよく見ると、右は落ち込み状になっていて見えないだけではないか!!
「左〜、左行きましょう〜!」
カナールからの川面 というわけで、左のルートを取る。ここは出発地に近い町中なのでよく下見したほうがいいみたい。この近くに車を止めるところがなさそうなのですが。
左のルートもざぶんざぶんという感じだが、右はまさに落ち込んでいたので、ちょっと右のルートの方がハイレベルのようである。

南大橋が見えてくる。ここは盛岡のひとつ南の駅、仙北町に程近い。で、橋の下が広くなっていて、車も入っているようであった。車の出発地にはここが正解かも知れない。

APPONさんが防水パックに入ったビデオを回す。やっぱりビデオはソニーですね。(問題発言)ホームページ用の写真もビデオから取った方がカンタンでいい。どんなふうに撮れているか期待。(ちなみにこの上の写真をはじめとしてビデオから取った奴はだいぶ活用しています)

5万図では「盛岡」はすぐに終わり、「日詰」に入った。岸にあがって休憩。向こうに都南大橋が見えている。朝コンビニで買ったおにぎりをたべて、2時17分出発。
都南大橋の下にはちょっとした瀬があった。1.5級というところか。楽しい瀬である。
やがて、盛岡の街の護岸をすぎると、川は自然が残る景色になってきた
カヌーでキャンプしていた 右岸にキャンプをしている人が見えてくる。カヌーがいくつも置いてある。ツアーのようだ。それにしてもこんな時間にもうキャンプ場なのかな。停滞してキャンプを楽しんでいる感じ。挨拶をして通り過ぎる。
ちなみに、北上川はもっとカヌーイストが多いのかと思ったが、思ったより少なかった。ほとんど川を独占状態で流れていく。
水の流れがけっこうあるのでほって置いてもだいぶ流れる。出発が昼過ぎになったハンデがあるので、どんどん漕ぐ。かなりいいペースで進んでいった。
5万図には名前の書いていない新都南大橋にさしかかる。
小学生くらいの子供が5、6人。ハウスさんが声をかける「なにやっているの?」「魚釣り〜」「朝5じからやっている!」「10ぴき以上つれた!」たくさん声が返ってきた。
見ると、APPONさんが漕いでいない。「さっき、肘をねんざしちゃって」それはお大事にせねば。IPPONさんが口の前で手をぱくぱくするポーズをしていたかどうかは良く知らない(^_^;)。ちなみにハウスさんの前の夏樹くんもあんまし漕いでないようだ。
ハウス艇 かくて、3艇のカヌーは3人の漕ぎ手で流れていく。
川に立つ、ゴイサギを見る。なんか鳥の毛並みがきれい。最近、ゴイサギくらいは見分けがつくようになった(と、おもう)
徳田橋は水色の鉄橋である。車が鉄の柱のなかを通り抜けていくのが見える。 ちょっとした早瀬をすぎる。私服の高校生が柱のしたあたりにいた。北上川は生活の憩いの場としての機能がのこっているのか、子供から大人まで、いろんなひとがぽつり、ぽつりと川岸にきているのを見た。
木の間から鳥の声がやかましく聞こえる巣のある木のようだ。本当ににぎやかだが、なんという鳥の声かはわからない。
鳥とIPPON艇 ハクチョウらしき鳥が3羽いるのを見る。(左の写真)「ハクチョウじゃない」みんなで言うが、本当にハクチョウかなあ。でも、くぅ〜というは鳴き声もハクチョウであった。
徳田橋下流、また川が浅くなってきた。とりあえず、通れるルートがあったので、抜ける。

本日のゴールは紫波橋か、その下の大正橋。どちらも市街地に近く、橋の脇に運動公園があるのでキャンプが出来る。紫波橋はIPPONさんが前回来たときに泊まっているのだが、上陸地点の足場が悪いので、できれば大正橋まで行きたい。今朝の下見ではこっちの方が足場が良さそうなことが判っている。
4時までに紫波橋通れたら、大正橋までアタックできそうだね、などと話しながら漕いでいく。紫波橋まであとすこし。そのときに事件は起こった。
場所は5万図「日詰」でまさに地図の真ん中、「北上川」の文字の「北」のあたり、地名で言うと、「高水寺」「土橋」「荒屋敷」の近くである。
私とハウスさんが近くを漕いでいて、IPPON艇がすこし遅れていた。別に瀬とかそういうわけでなく、このあたりでは平均した流れのなかである。
IPPON艇 見ると、私のすぐ左、水面ぎりぎりで波を切っている直径7、8センチほどの杭が見えた。
「ここ、杭ね〜」
いつものように叫んでパドルで指して後ろに伝える。ハウス艇はそんなに近くもなかったので、問題なく通過。
振り返って、IPPON艇の通過を見届ける。私の位置からはIPPON艇が杭の前を横切るように運動していくように見えた。あ、そっちに行ったらひっかかる。
私の位置からは杭が見えないので、いつ引っかかったかは見えない。しかし、見る間にカナールが横を向く。前部が止まっても、後部はまだ回転していく。
艇が、折れる!
一瞬、艇に積んであった荷物がはじけるように川面に広がって流れ始める。IPPONさんと、APPONさんは艇の向こうで立ち上がって、無事の様子。
やってしまった〜。
川面に流れてくるビデオカメラ、ドライザック、もろもろ。ハウスさんと片っ端からひろいあげて艇に放り込む。あっと言う間にコーミングが埋まった。APPONさんが水のなかを腰まで浸かって歩いてくる。
IPPONさんはまっぷたつになったカナールと流れの真ん中で頑張っている。腰まで水があるが、背は立つようだ。
とりあえず、木のなかの小さな岸にたどり着いたAPPONさんに荷物を預けて、IPPONさんのところまで流れをさかのぼって、荷物の回収に向かう。カナールは見事まんなかから二つ折りになっていて、前部と後部に水が溜まっているので動かない、これから船体布を切って外すという。
ハウスさんも水の中を歩いてきて、待ちかまえているなか、カナールを外す。いくつかの部品が流れてくるが、回収完了。
すぐ下に石の岸があったので、そこにあげる。細い道だが、なんとか、ここまで車で降りてこられるようである。不幸中の幸い。
ハウスさんと夏樹くんは車の回収に向かった。

「まさかサラリーマン転覆隊みたいになるとは思わなかった〜」と、APPONさんのご感想。「あの本読んでいなかったら、そのままカナール焚付けにするところだ」
サラリーマン転覆隊とは最近はやりのノンフィクション小説ですが、そのなかでは、はじめに艇を折ったときは「直るのを知らなくて」燃やしてしまったそうな。カナールは木製だからちゃんと直りますって。

大破したカナール
待ち時間に大破したカナール前で記念撮影。


タウンエースの到着は6時をとっくにすぎており、あたりは暗闇が降りてきたところだった。ほっとしますねえ。

結局、キャンプは紫波橋したの運動公園にすることにする。途中、閉店直前のAコープに滑り込み、鍋の用意を買い込み、酒屋でビールと水を補給した。
紫波橋の下にテントを張って、いつもの宴会状態。まあ、みんな無事でよかったよかった。あしたはIPPONさんたちが陸上援護をしていただけるという。ありがたやありがたや。。。