by のっぽ

【6】初心者へのアドバイス

あらためて考えてみても、有効な手段も対策も少ないが、今楽しげに話をしている相手が、本当になんでもない場所で、意識不明の重体になり、あるいは心に大きな傷を負うということが起こりうるということを考えたならば、互いのためにできることを考えておくのは必要ではないだろうか。私が考えたのは次のようなことである。

1.まず、初心者だけで下るべきではない。

2.携帯電話をすぐ取り出せるところに防水して持参し、いつでも助けを呼べるようにする。

3.船をきちんとコントロールできない人は流れのあるところを漕ぐべきではない。初心者二人で舵ナシの船に乗るのはきわめて危険。まだ、一人ずつ乗ったほうが安全。

4.錦川は沈が前提。沈できる服装にすること。水はかなり冷たく、ハイポサーミアの危険もあるので、綿モノはNG。せめて化繊の着替えを持つか、ウエットスーツを用意すること。

5.ロールもしくは沈脱ができない人は、川でクローズドデッキカヤックに乗ってはいけない。

6.紐、パドルリーシュ、首から下げるストラップ、双眼鏡など体が絡まりクビが絞まる恐れのあるものは、すべて外す。

7.デッキなどにネットで固定するほか、荷物は極力持たない。沈して流しても、すぐ諦める。運がよければ下流で拾えるので。

8.ファーストエイドキットは持ちましょう。傷対策の軟膏等は重要です。

9.肌を露出させないこと。沈脱の際の外傷と、日焼けによる体力低下を防止する。

10.船をはりつかせない。岩や人工物の上や横で止まりそうになったら、パドルでつつくとか、船の上であばれ、とにかく動かす。

11.岩を付くときはパドルでタイミングよく突く事。手で突くのは怪我の元。

12.橋脚等にひっかかって、船が止まったと思ったら、張り付きの危険がある。危険を感じたら1秒以内に障害物と反対側に飛び込む。

13.風が正面もしくは真後ろから強く吹いているとき、かつダッキーに乗っているときは、橋はポーテージする。

14.PFDは必ず装着し、ゆるみのないようにする。

15.靴はとても重要。水に濡れてもOKな横メッシュで水が抜ける運動靴がベスト。長いマリンシューズも有効。ゴム長、ウエイダー不可。

16.沈脱して流れるときは下流を見ながら、手足を水面に出すようにして流されること。障害物があったら足で蹴りながら流され、流れが弱まるところまで漂着すること。

17.大岩の付近は下に向かって引きずられるので注意。水中では、上に向かって泳ぐ、というより、川の内側に向かって泳ぐほうがよさそう。身体を水面に出すのは、PFDに任せること。

18.深さ60センチ以上で、流れが速いところでは決してたたない。足を川底に挟まれると、そのまま水圧で倒され溺水するので。

19.沈脱の練習を流れが弱いところですること。ただし、必ず3人以上で出かけているところで、二人以上サポートをつけて行なう。練習で事故になる可能性が高いので、二人だけで行った時に練習は不可。最低でも、自分のPFDがどのように身体を浮かせてくれるのかテストしておくべき。